結論から申し上げます。上白石萌音さんは、映画「羊と鋼の森」の演奏シーンで、本当にご自身でピアノを弾いています。吹き替えではありません。
「あんなに上手なのに、本当に本人が弾いているの?」——そう思って検索された方、どうぞご安心ください。この記事では、その確かな根拠を、ひとつずつ丁寧に紐解いてまいります。
初めまして、エンタメ人物考察ライターの月城彩葉と申します。華やかな画面の裏側にある「人となり」に、こっそり敬意を払い続けて数十年。今日は、上白石萌音さんとピアノの、思いのほか深くて温かい物語をお届けいたします。
上白石萌音はピアノを本当に弾いてる?結論は「マジで弾いている」
まず、多くの方が抱く疑問にお答えします。
2018年公開の映画「羊と鋼の森」で、上白石萌音さんは実際に自分の手でピアノを演奏しています。これは複数の証言で裏づけられている事実です。
この作品は、ピアノ調律師を目指す若者の成長を描いた物語。劇中にはピアノ曲が数多く登場し、上白石萌音さんは妹・上白石萌歌さんと、ピアニストの高校生姉妹を演じました。リアルな姉妹が、スクリーンの中でも姉妹役。しかも連弾シーンまである——という、なんとも贅沢な共演だったのです。
ところが、その演奏があまりにも自然で上手なため、「これは吹き替え(手元だけプロが弾いている)では?」という声が上がりました。
疑問の火種になったのは、映像の「見せ方」でした。顔と鍵盤が同時に映るカットが少なかったため、「本人の手じゃないのでは」と勘繰られてしまったのですね。
でも、答えははっきりしています。本人が、本当に弾いています。
なぜ本人演奏だと言い切れるのか?共演者と本人の証言
疑惑を晴らす一番の根拠は、関係者の証言です。噂話ではなく、現場を知る人の言葉——ここが大切なところです。
まず、共演した山崎賢人さんのコメント。上白石萌音さんの弾き方は、本人のおっとりした性格そのままに、しとやかだったと語られています。
ここで興味深いのは、姉妹で弾き方がまったく違っていたという点です。性格がそのまま指先に表れる——これは、手元だけ差し替えた映像では決して生まれない「人間らしさ」です。筆者としては、この証言こそが何よりの証拠だと感じます。

そして本人たちの証言も残っています。
撮影前、萌音さんと萌歌さんは、自宅にあった一台のピアノを取り合うようにして練習に励んだそうです。連弾のシーンは、二人で並んで何度も合わせたのだとか。
上白石萌音さんは当時をこう振り返っています。ピアノに向き合う時間が、そのまま役に向き合う時間だった——練習に費やした分だけ役に近づけた気がして、ずっとピアノのことを考えていた、と。
この言葉の重みは相当なものです。吹き替えで済ませる役者が、ここまで「ピアノ=役」と一体化して語るでしょうか。個人的には、この一言に、彼女の俳優としての誠実さがにじんでいると思うのです。
そもそも上白石萌音はピアノが弾けるの?3歳からの原点
「本番で弾けた」という話には、当然ながら土台があります。上白石萌音さんは、もともとピアノに親しんできた人なのです。
鍵を握るのは、ご家族の存在です。
上白石萌音さんの母親は、元音楽教師で、現在はピアノの指導者。自宅でピアノ教室を開いていた時期もありました。つまり、生まれたときから音楽が身近にある環境だったわけです。
名前の「萌音」にも、「音が芽吹く」「音楽を好きになってほしい」という親の願いが込められているといいます。もう、これだけでちょっと泣きそうになりますね(と、早速脱線しかけるのが私の悪い癖です)。
そんな家庭で、上白石萌音さんは3歳ごろからピアノを習い始めました。
ただ、ここからが彼女らしいのですが——小学1年生のころ、一度ピアノに挫折しています。音楽が流れると踊ったり歌ったりしたくなって、じっと椅子に座っていられなかったのだとか。本人も「落ち着きのない子どもだった」と笑って振り返っています。
物語には続きがあります。中学2年生のころ、コードを押さえながら歌う楽しさに目覚め、再びピアノに向かうようになったのです。
弾くことそのものより、「歌うために弾く」。この回り道が、のちの弾き語りや、感情のこもった演奏につながっていると考えると、味わい深いものがあります。
「羊と鋼の森」撮影の裏側|楽譜のタワーと猛特訓
では、実際の役作りはどれほど大変だったのでしょうか。インタビューから見えてくる現場は、なかなかに壮絶です。

役が決まった瞬間、その場で分厚い楽譜を手渡されたそうです。「はい、練習してね」と。姉妹はそろって、楽譜のタワーを前にフリーズしてしまったといいます。
上白石萌音さんが演じた和音(かずね)は、しっとりとした曲が多い役。最初は音符を追うだけで精一杯だったものの、一曲弾ききれたときの喜びは格別だったと語っています。
弾き続けるうちに曲のイメージがつかめてきて、先生にも褒められるようになり、「私の指が音を紡いでいるんだ」と実感できた——そんな幸せな瞬間があったそうです。
一方、妹の萌歌さんはピアノ未経験からのスタート。テンポの速い曲を任され、楽譜を「音符の渋滞だ」と表現するほど苦労しながら、猛特訓で乗り越えました。
姉は経験者、妹は初心者。出発点が違う二人が、同じ家で、同じピアノを使って、同じ時間だけ練習する。この「地続きの努力」こそが、スクリーンのリアルな姉妹像を支えていたのだと思います。
ちなみに二人は映画の中でも姉妹役で、都内の同じ家で暮らしていたため、帰宅後に台本の読み合わせまでできたそうです。公私ともに姉妹——もはや役と現実の境目がありません。
テレビでも証明|ピアノ番組でナビゲーターを務めた実力
映画だけではありません。上白石萌音さんのピアノの素養は、テレビでも発揮されています。
2020年6月13日に放送されたNHK BS1「駅・空港・街角ピアノ スペシャル」に、上白石萌音さんは出演しました。街角に置かれたピアノを市井の人々が弾く、あの心温まる番組です。
実際に弾ける人だからこそ、演奏する人の気持ちに寄り添い、感情豊かに語ることができる。性格がにじむ優しい語りかけも印象的でした。
「本番で弾けた」だけでなく、「ピアノを語れる」。この両輪がそろっている点に、彼女とピアノの関係の本物らしさがあると、筆者は見ています。
筆者の考察|なぜ上白石萌音の演奏は人の心を打つのか
ここからは、エンタメ人物を追い続けてきた一人の書き手として、私見を述べさせてください。
上白石萌音さんの演奏が「上手すぎて疑われる」ほどの説得力を持つのは、技術の高さだけが理由ではないと考えています。
ポイントは、彼女が一度ピアノに挫折し、遠回りして戻ってきた人だということです。
幼いころに「じっと座れずに」離れ、歌う楽しさを経由して再会したピアノ。その体験があるからこそ、「弾けない苦しさ」も「弾ける喜び」も、どちらも知っている。和音という役の、静かで内に秘めた感情表現と、彼女の歩みが響き合ったのではないでしょうか。
また、妹と一台のピアノを取り合った日々も見逃せません。技術をなぞるのではなく、生活の中で音と格闘した時間が、画面に「生っぽさ」として定着した。手元を吹き替えていたら、あの空気は絶対に出ません。個人的には、ここに彼女の俳優としての芯の強さを感じます。
今後についても一言。語学が堪能で、英語劇や海外公演にも挑む彼女のことですから、音楽と芝居を往復しながら、表現の幅をさらに広げていくだろうと見ています。ピアノは、その原点であり、これからも折に触れて顔を出す「もうひとつの言葉」であり続けるはずです。
まとめ|上白石萌音のピアノは本物だった
最後に、要点を整理します。
- 映画「羊と鋼の森」で上白石萌音さんは本人がピアノを演奏している
- 共演者や本人の証言が、吹き替えではないことを裏づけている
- 母が元音楽教師・現ピアノ指導者で、3歳からピアノに親しんできた
- 一度挫折し、中学で再開した「回り道」が演奏に深みを与えている
- 撮影前は妹と一台のピアノを取り合って猛特訓した
疑惑は、むしろ彼女の努力の証でした。「上手すぎて吹き替えを疑われる」——これ以上の褒め言葉もなかなかありません。次に演奏シーンを観るときは、どうぞその指先に込められた時間ごと、味わってみてください。
よくある質問
上白石萌音は本当にピアノを弾いているのですか?
はい。映画「羊と鋼の森」では本人が実際に演奏しており、共演者や本人の証言でも裏づけられています。吹き替えではありません。
上白石萌音はいつからピアノを習っていたのですか?
母親がピアノ指導者という環境で、3歳ごろから習い始めました。小学1年で一度挫折し、中学2年生のころに再開しています。
「羊と鋼の森」では妹とどんなシーンを演じましたか?
実の妹・上白石萌歌さんとピアニストの姉妹役を演じ、二人で並んで弾く連弾シーンもあります。撮影前は自宅のピアノを取り合いながら練習したそうです。